― 繊細なマテリアルが生む “陰影” と “奥行き”
黒を基調とした二階建てのファサードに、温かみある木調軒天とシャープな鉄骨フレームが織りなすコントラスト。
その大胆な水平ラインを受け止めるのは、石英調インターロッキングのアプローチです。
芝目地を挟んで左右を切り替えることで、車庫スペースと来客動線を視覚的に分節しつつ、緑のクッションで硬質感を和らげています。
門袖は せっ器質タイルのホワイトボーダーをベースに、階調の異なるブラウン挿し色をリズミカルに配置。建物外壁のダークトーンと相反しながらも、
木目軒天との調和を図り、エントランスの“迎え入れる表情”を際立たせます。
主庭側には 高耐久デッキをステップ状にレイアウト。室内床と連続する高さ設定でリビングと庭をシームレスにつなげ、芝生の鮮やかなグリーンを最大限に取り込む“アウトドアリビング”を実現しました。
隣家境界には **縦格子フェンス(レッドシダー調)**を設置。程よい透過率が視線を柔らかく遮り、植栽の陰影を引き立てます。
植栽は アオダモ・ソヨゴ・ヒメシャラなど東北の気候に適した雑木を中心にセレクト。
株立ちの軽やかな枝葉が黒壁をキャンバスに四季の変化を映し出し、夜間は足元のローポールライトがドラマティックにライトアップ。昼夜で異なる景観体験を提供します。
緑広がる気持ちの良い芝生は一般的にお手入れが大変と思われがちですが、あのTOYOTAが開発した芝生改良品種の省管理型芝生 「TM-9」を採用。
仕上げ・使用素材一覧
区分 | 主素材 | 特徴 |
---|---|---|
アプローチ | 石英調インターロッキング + 土間コンクリート打設 | ノンスリップ加工/経年変化が少ない |
門袖 | ボーダー調化粧ブロック+ ブラウンアクセント | 吸水率低/メンテナンス性◎ |
カーポート | カーポートSC梁延長 木調アルミ軒天 | 水平ラインを強調/雨掛かりを最小化 |
目隠しフェンス | レッドシダー調アルミ格子 | 適度な透過性/腐食レス |
主庭 | 野芝 + 高耐久人工デッキ | 緑量確保/省管理 |
植栽 | アオダモ、ソヨゴ、ヒメシャラ、下草類 | 四季演出/雑木風ナチュラル |
使用製品とデザインのポイント
■ LIXIL「カーポートSC」
建物軒天と呼応する**木調天井材(ナチュラル色)**が印象的なフラット屋根のカーポート。柱・梁の構成を最小限に抑え、直線的で軽快な印象を与えながらも、日差しや雨から車をしっかり守ります。建物と“つながるような存在感”が特徴です。
■ 東洋工業「エクレル」(舗装材)
アプローチには**自然石調のコンクリート舗装材「エクレル」**を採用。ランダムな色ムラが美しく、落ち着いたブラウン系カラーで外壁のダークトーンと絶妙にマッチ。芝目地と白モルタル打設を組み合わせ、歩車分離を視覚的に演出しつつ、柔らかな印象を添えています。
■ 東洋工業「スレンダーウォール」(門袖)
門柱には、横ラインが強調されたスレンダーウォールを採用。すっきりとしたボーダーデザインにブラウンのアクセントを挿し色として加えることで、建築外観との調和と変化を両立。植栽と組み合わせて印象的な門まわりを構成しています。
■ タカショー「千本格子 足付きユニット」(目隠しフェンス)
隣地境界には**タカショーの千本格子ユニット(足付きタイプ)**を設置。程よい透け感とナチュラルな木調カラーが、外からの視線をさりげなく遮りつつ、庭の植栽を引き立てる背景としても機能。格子のリズムが空間全体に軽やかさをもたらします。
■ LIXIL「樹ら楽ステージ」(デッキ)
主庭には、**メンテナンス性に優れた人工木デッキ「樹ら楽ステージ」**を設置。段差のないステップ構成により、室内から庭への視線と動線がスムーズに流れます。芝生のグリーンとウッド調のコントラストが、アウトドアリビングとしての機能性と開放感を演出しています。
まとめ
上質な建築空間を引き立てるための“引き算のデザイン”と、選び抜かれた高性能な外構資材。今回の計画は、住宅と外構が調和し、暮らしの質を高める一体設計の好例です。